学長メッセージ

学長 植木 朝子
学長 植木 朝子
 1875年、創立者新島襄は「自ら立ち、自ら治むるの人民の育成」を目指して私学同志社英学校をここ京都に設立しました。創立以来、同志社教育の基本はキリスト教主義精神に基づく「良心を手腕に運用する人物」の育成です。そして、キリスト教主義、自由主義、国際主義の3つが本学の教育理念です。このような教育思想はアメリカで経験した高等教育、宗教活動を通して形成されてきたものです。
宗教家として、そして教育者として新島は数多くの言葉を残していますが、本学に繋がる人々が強い思いで受け継いでいる言葉に、「諸君ヨ人一人ハ大切ナリ」というものがあります。これは1885年に開催された同志社創立10周年記念演説の中で語られました。国際連合はSDGsの理念として「No one will be left behind」を掲げていますが、本学はそれよりもずっと前から、新島のこの言葉を重要なよりどころとして大学運営を行ってきました。
自身と異なる価値観や境遇を持つ他者を理解し、共生、共存する中で、その違いを新たな創造へ導く力を持つ人物を養成するため、本学は、継続してダイバーシティ推進に取り組んできましたが、2020年度にはそれをより明確に社会に発信するために「同志社大学ダイバーシティ宣言」を制定して公表しました。その内容は以下の通りです。

  1. 国籍、性別、障がい、性的指向・性自認、文化、宗教、思想信条等、様々な背景を持つ本学構成員が、共に学び、共に働くことができるキャンパスを形成します。
  2. 本学構成員が、教育や研究、その他の活動の場において個々の能力を十分に発揮し、多様な人々が等しく参画できる環境づくりを目指します。
  3. 合理的配慮を要する本学構成員に対する支援体制を整え、社会的障壁の除去に対する理解の醸成を促進します。
  4. ダイバーシティに対する意識の啓発を推進し、あらゆる人びとの人権を尊重できるダイバーシティの視点に立った人物を養成します。

 そして学生のダイバーシティ推進という観点から、学生支援機構では、身体、精神等の障がいの種別を問わず、シームレスに対応する総合窓口が必要と判断し、これまでの障がい学生支援室とカウンセリングセンター特別支援オフィスの機能を統合し、2021年4月にスチューデントダイバーシティ・アクセシビリティ支援室(SDA室)を設置しました。
 SDA室の目的は二つあります。一つ目は、身体、精神等に障がいのある学生の支援です。2000年に障がい学生支援制度を、そして2008年には障がい学生支援室を設置し、本学は障がい学生支援の先進校として高等教育機関を牽引してきました。また、2013年4月よりカウンセリングセンター内に「特別支援オフィス」を開設し、発達障害など学生生活において、特別な支援を必要とされる学生への支援を行ってきました。今後も学生目線での支援を続けてまいります。二つ目は、多様な性的指向・性自認を持つ学生の支援です。本学でも、SOGI(性的指向:Sexual Orientationと性自認:Gender Identity)の受け皿を設置する必要があるとの思いから、窓口の設置に至りました。
SDA室では、ジェンダーやセクシュアリティに関する専門知識がある職員が対応しますので活用してください。もちろん、SDA室は何か特別な困りごとがある学生のみを対象とした窓口ではありません。日常の些細な疑問、違和感、心配事などがあれば何でも相談してください。本学は今後も一人一人に寄り添う大学であり続けます。